女性の狭心症や心筋梗塞の発症率は、男性の半分以下ほどの割合です。
なぜ、女性に虚血性心疾患が少ないかというと、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンが、動脈硬化の進行を抑制する働きをしているからです。
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卵巣から分泌されるエストロゲンは、肝臓に働きかけてLDLコレステロールの受容体を増やし、血中のLDLコレステロールの増加を抑えるとともに、善玉のHDLコレステロールの合成を促します。
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エストロゲンのこの働きのおかげで、女性は月経がある10〜40代の間は、動脈硬化の進行が抑えられているのです。
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女性は閉経前後からエストロゲンの分泌がしだいに減っていき、平均51歳の閉経後は分泌量が激減します。その結果、50代以降になるとコレステロール値が急に高くなる人が多くなります。
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コレステロール値が220mg/dl以上となり、高脂血症の診断基準にあてはまる人も増加しますが、閉経後すぐの女性の場合、その時点までは動脈硬化はそれほど進行していません。
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したがって、個人差もありますが、240mg/dlくらいまでの数値であって、ほかの危険因子がなければ、さほど神経質になることはありません。
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ただし、閉経後も年々コレステロール値が上がり続けていたり、高血圧や高血糖になっていたり、長年の喫煙習慣がある場合は、動脈硬化が急に進行してくる可能性が高いので、早期に医師の診断を受けましょう。とくに、高脂血症に糖尿病が合併すると、男性よりリスクが高くなります。
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・エストロゲン
女性ホルモンのひとつ、エストロゲン(卵胞ホルモン)は月経や妊娠に関係し、女性らしい体つきや張りのある肌を作ります。
また、カルシウムが不足したときに骨からカルシウムが過剰に溶け出すのを防いだり、自律神経を安定させて心身のバランスを整えたりする働きもあります。
このため、閉経後は骨密度が低下してしまうため、骨粗しょう症を発病しやすくなります。また、閉経前後は心身のバランスがくずれやすくなります。
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血液中にコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進み、命にかかわる病気につながります。
しかし、コレステロールが少な過ぎても、体にさまざまな悪影響が出ます。それは、コレステロールが、人間の体にとって欠かせない成分だからです。
人間の体は約60兆個もの膨大な数の細胞から成り立っていますが、コレステロールはそれらの細胞を構成する細胞膜の材料であり、細胞膜を強くし、細胞を支える役割を果たしています。
また、コレステロールは、生体機能を調節するホルモンの材料でもあり、副腎皮質ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの重要な構成成分です。
さらに、食事から取り入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸も、コレステロールを材料として肝臓で作られています。
悪者と思われがちなコレステロールも、健康を維持するために必要不可欠なものです。コレステロールが不足すると、免疫力が低下し、短命に終ることが多いと考えられています。
成人の体内には、約100〜120gのコレステロールが存在し、その一部が新しいものと入れ替わることによって、生体機能が維持されます。
健康を保つためには、成人の場合1日1〜1.5gのコレステロールが必要とされ、そのうちの70〜80%は肝臓などで合成され、残りの20〜30%は食事からとっています。
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