「フレンチ・パラドックス」という言葉をご存知でしょうか?フランス人はヨーロッパのなかでも、肉や乳製品などの動物性脂肪をたくさんとっている国民ですが、なぜか心疾患による死亡率が低いという謎を表した言葉です。
通常は、動物性脂肪をたくさんとるほどコレステロール値が高くなり、動脈硬化から心疾患を引き起こす確率も上昇するからです。
|
|
この謎を解く研究がなされた結果、赤ワインに含まれる抗酸化物質のポリフェノールが有効だということがわかりました。動脈硬化は、LDLコレステロールが活性酸素によって酸化され、酸化LDLになることで促進されます。その活性酸素を抑えるのが、赤ワインのポリフェノールだったのです。
赤ワインには、ぶどうの皮の色素成分であるアントシアニンや渋味物質のタンニン、そのほかにもカテキンやレスベラトロールなど、多くのポリフェノールが豊富に含まれています。これは、赤ワインが果皮や種なども一緒につぶして発酵させるためで、皮や種を取り除いて作る白ワインより強力な抗酸化作用があります。
|
|
加えて、赤ワインには血管拡張作用もあり、適量を飲むと、血液循環がよくなります。
スポンサードリンク
|
フランス人の1人当たりの年間ワイン消費量は約67リットルで、日本人の約70倍にもなります。これは、ランチにもワインを添えるお国柄ゆえのこと。日本とは食習慣が異なりますが、動脈硬化を予防する点から見ると、フランス人にも日本人にも共通の目安量があります。
|
動脈硬化予防のための適量は、1日にワイングラス1〜2杯(約150〜250ml)です。
スポンサードリンク
|
|
赤ワインはアルコール度数11〜14%のお酒なので、飲み過ぎると肝臓を傷めたり、血液中の中性脂肪を増やしたり、肥満につながったりと、かえって健康を害することがあります。くれぐれも適量を守り、食事のおとも程度に飲むのがいいでしょう。
|
|
一方、白ワインには、大腸菌やサルモネラ菌に対する殺菌効果があるポリフェノールが含まれています。抗酸化力は赤ワインほどは強くありませんが、生の魚介類を食べる際には、味の調和に加え、抗菌力という観点から、白ワインを選ぶのがおすすめです。
|
また、アルコールが苦手な人は、無理をしてワインを飲むことはないでしょう。発酵させて作る赤ワインほどではありませんが、果汁100%のぶどうジュースでも抗酸化作用が期待できます。ただし、糖分の多いジュースを常飲すると、カロリーをとり過ぎてしまうので、糖分ひかえめのタイプを選びましょう。 |
|
血液中にコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進み、命にかかわる病気につながります。
しかし、コレステロールが少な過ぎても、体にさまざまな悪影響が出ます。それは、コレステロールが、人間の体にとって欠かせない成分だからです。
人間の体は約60兆個もの膨大な数の細胞から成り立っていますが、コレステロールはそれらの細胞を構成する細胞膜の材料であり、細胞膜を強くし、細胞を支える役割を果たしています。
また、コレステロールは、生体機能を調節するホルモンの材料でもあり、副腎皮質ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの重要な構成成分です。
さらに、食事から取り入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸も、コレステロールを材料として肝臓で作られています。
悪者と思われがちなコレステロールも、健康を維持するために必要不可欠なものです。コレステロールが不足すると、免疫力が低下し、短命に終ることが多いと考えられています。
成人の体内には、約100〜120gのコレステロールが存在し、その一部が新しいものと入れ替わることによって、生体機能が維持されます。
健康を保つためには、成人の場合1日1〜1.5gのコレステロールが必要とされ、そのうちの70〜80%は肝臓などで合成され、残りの20〜30%は食事からとっています。
|
|
|