毎年受ける健康診断の結果を見るたびに、「年々、コレステロール値が高くなっているな」と感じている人は案外多いようです。また、高コレステロール血症をはじめとする高脂血症と診断されても、何もせずにほうっておく人も少なくありません。
「なんとなく不安だけど、自覚症状がないから大丈夫だろう」と、そのまま放置する人が多いのが実情です。
|
|
しかし、「コレステロール値が高い」ということは、血中のコレステロール(脂質)が増えて血液がドロドロになった状態であり、それが続くと、余分なコレステロールが血管壁内に入って血管壁を硬化させ、血管内部が狭くなり、血液の流れが悪くなります。
|
|
この状態がさらに続くと、狭心症や心筋梗塞などの心疾患や、脳梗塞に代表される脳血管疾患などさまざまな病気が引き起こされます。
スポンサードリンク
|
日本人の死因のトップはガンですが、2位を心疾患が、3位を脳血管疾患が占めており、両者とも年々、死亡者数・死亡率が増加しています。また、命を奪う重大な病気であるのに加え、運よく助かっても、重い後遺症が残る場合が少なくありません。
|
|
高コレステロールも動脈硬化も、かなり進行してからでないと自覚症状を感じないのが、やっかいな点です。しかし、コレステロール値が基準値内より高いということは、体が危険信号を発している証拠なので、早めの対処が肝要です。
|
|
また、高コレステロールの症状が軽度であっても、近年、診断基準が策定されたメタボリック・シンドロームのリスクは存在します。
スポンサードリンク
|
心筋梗塞や脳梗塞で倒れることは、本人の人生を変えるばかりか、家族の生活をも変えてしまいます。自分の体の状態を把握し、早くうちに症状の改善に努めましょう。
|
|
・動脈硬化とは?
動脈硬化とは、心臓から全身の各部位に血液を運ぶ動脈が硬くなる状態を指します。動脈内を流れる血液中にコレステロールが増え過ぎると、それが血管壁の内側にたまるため、血管壁が肥厚し、血管内部が狭くなります。そのため、血液の流れが悪くなり、血栓(血液のかたまり)がつまりやすくなります。
血栓がつまって血管の一部がふさがれると、血液が流れない状態が引き起こされます。これが、心臓を取り巻く冠動脈で起こると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞となります。
・動脈硬化の原因
動脈硬化は、誰でも10〜20代から進行し始めます。一生を健康に過ごす人は、硬化の程度が加齢にともなう範囲内にあり、そうでない人は、生活習慣などが原因で、硬化が促進されています。
その最大の危険因子が、血中のコレステロールが増える高脂血症です。
ほかに、高血圧、糖尿病、内臓脂肪、喫煙、運動不足、ストレス過多、遺伝なども促進要因となります。
|
血液中にコレステロールが増え過ぎると、動脈硬化が進み、命にかかわる病気につながります。
しかし、コレステロールが少な過ぎても、体にさまざまな悪影響が出ます。それは、コレステロールが、人間の体にとって欠かせない成分だからです。
人間の体は約60兆個もの膨大な数の細胞から成り立っていますが、コレステロールはそれらの細胞を構成する細胞膜の材料であり、細胞膜を強くし、細胞を支える役割を果たしています。
また、コレステロールは、生体機能を調節するホルモンの材料でもあり、副腎皮質ホルモン、男性ホルモンや女性ホルモンなどの重要な構成成分です。
さらに、食事から取り入れた脂肪などの消化吸収を助ける胆汁酸も、コレステロールを材料として肝臓で作られています。
悪者と思われがちなコレステロールも、健康を維持するために必要不可欠なものです。コレステロールが不足すると、免疫力が低下し、短命に終ることが多いと考えられています。
成人の体内には、約100〜120gのコレステロールが存在し、その一部が新しいものと入れ替わることによって、生体機能が維持されます。
健康を保つためには、成人の場合1日1〜1.5gのコレステロールが必要とされ、そのうちの70〜80%は肝臓などで合成され、残りの20〜30%は食事からとっています。
|
|
|